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    「妊活」最前線(2)

     晩婚化が進み、平均的な結婚年齢が遅くなり、そのことから、妊娠可能な年齢が狭められていった。結婚するための年齢には制限はないが、子供を産める条件は年齢と共に不利になる。晩婚夫婦が子供を産める期間は短くなったと感じられ、そのことが「妊活」への「ブーム化」の背景となった。

     われわれシニア層が若い頃には「25歳はお肌の曲がり角」というキャッチフレーズがあったように、男は26才、女は23才くらいであった。それまでに相手を見つけなければ女は売れ残りかねないという危機感があった。

     女性の社会進出とともに、女が家に閉じこもってもっぱら育児に専念する時代は終わった。生活力がつくと共に、結婚しなければならない危機感は薄らいだ。

     それでも三十才を過ぎると、経済情勢の悪化や東日本大震災による「絆を求める心の広がり」の中で、さすがに家庭や子供が欲しいと感じるようになった。生活が安定する家庭と、かけがえのない子供のいる未来が次第に求めるべき希望となって行った。

     こうした背景はともかくとして、いわゆる出産可能な年齢は何才くらいだろうか。もちろん個人差はあるだろう。医学的には40代でも不可能ではないが、リスクは残るとのことらしい。

     しかし、こと妊娠と出産に関しては、女は相当に強い。

     私が勤めていた会社に30代前半の女性がいた。小児マヒで障害者手帳を持っていた。歩行が多少困難で、解熱剤と睡眠導入剤を常用していた。自分の体が「ボロボロになっている」と感じていたようだ。そんな彼女に彼氏が出来て、妊娠したので出産するため会社を辞めると言ってきた。
     でも、無事に産めるかどうか、ほとんど絶望的な気持ちだったらしかった。命がけの決意であったことがうかがえた。

     彼女が退職し、その存在を忘れかけたころ、会社に手紙が届いた。一枚の写真が同封されていた。ころころと太った玉のような子供を抱いて、本当にしあわせそうにニコニコしている彼女の姿があった。横には屈強で実直そうな職人風の男の笑顔があった。

     「やったじゃねえか!」

     このときばかりは、私も、神を信じることができた。

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